実際にSIBOと診断された場合は低FODMAP食を実行することや、病院で抗生物質を処方してもらうことが必要となりますが、自分でSIBOを防ぐ方法や、軽度であれば自分で改善できる場合もあります。そこで、簡単にできるSIBO対策について解説します。
食生活を見直す
食生活については「高FODMAP食と低FODMAP食」のところで解説しています。
小腸の運動力アップのための対策
小腸の運動能力の低下はSIBOの大きな原因の一つとなります。小腸には胃から運ばれた食べ物を次の大腸に送る役割があり、そのために動きの速いリズミカルな運動が起こります。これをMMC(伝播性消化管収縮運動)といいます。MMCが起こるのは食物を食べ終わってから2時間ほどで、大腸までしっかり運ばれるまではプラス1時間45分程度かかると言われています。そのため、休みなく一日中食べ物を口にしていたりすると、MMCが止まって小腸の動きが悪くなってしまいまいます。従って、3時間45分は何も食べない時間を作ると良いということになります。SIBOを防ぐためにも、だらだら間食を食べたり夜遅くに間食したりすることは避けましょう。
さらに、MMCの働きは睡眠のサイクルとも深く関係しており、実際に睡眠不足の人にSIBOが多いようです。また、腸マッサージやお腹を温めることも有効です。
さらに、腹筋のトレーニングによって腸を支える周辺の筋肉を鍛え、腸の動きを良くする効果が期待できます。
食前の歯磨き
SIBOを防ぐためには、お腹の中でガスを作り出す細菌を口から入れないということも有効です。口の中や歯と歯の間には、たくさんの細菌が潜んでいますので、食事をする前に歯磨きやうがいをして、食事と一緒に菌を飲み込まないようにするようにしましょう。小腸を健康に保つためにも、口腔内を清潔に保つことを心がけ、定期的に歯の検査をしてもらうようにしましょう。
腸を空っぽにするとSIBOが治る?!
ファスティング(断食)によって腸をいったん空して「リセット」することで、SIBOや過敏性腸症候群の症状が良くなることもあります。
大腸がんなどの病気の有無を確認するために大腸内視鏡をするときに腸管洗浄液を飲んだことをきっかけに、腸内の増えすぎた菌が排泄されてお腹のハリの症状が治ってしまうというケースも見られるそうです。
もちろん、症状がよくなったからと言ってまた以前と同じ食生活や生活習慣に戻ってしまえば、またSIBOを繰り返すことになりますので、それをきっかけに食事や生活習慣を変えていく必要があります。
抗生物質とプロバイオティクス
プロバイオティクス(乳酸菌製剤など)を摂る場合は、まずは抗生物質や※抗菌剤によって小腸の菌数を減らした後が勧められます。しっかりと菌数を減らしたあとであれば、乳酸菌などの善玉菌がうまく生着し、整腸作用を効果的に発揮してくれるからです。
抗生物質や抗菌剤は身体の健康な最近も害のある最近も区別はできませんので、抗生物質をとれば善玉菌も殺すことになります。そのため、抗生剤などを飲んだ後には善玉菌を補給することが大切です。
※天然の抗菌剤として、アリシン(ニンニクからフルクタンを除いたもの)、ココナッツオイル、オレガノオイル、ベルベリン、ニーム、オリーブ葉エキスなどのサプリメントが用いられることもあります。天然の抗菌剤には耐性菌の出現がないことや副作用が少ないという利点があります。
まとめ
SIBOを防ぐための対策をまとめると→食生活を見直す・間食をだらだら食べない・睡眠をしっかりとる・お腹が冷えないように注意ししてお腹を温める・腸マッサージをする・腹筋を鍛える・口腔内を清潔に保ち、食前に歯磨きする・抗生物質をとった後にはプロバイオ(善玉菌)を入れる、場合によってはファスティングも有効 といったことになります。どれもSIBOに限らず健康を保つために役立つことばかりですよね。
SIBOが治ると、細菌との栄養の奪い合いがなくなってしっかりと栄養素を身体の中に吸収できるようになり、細胞にしっかりと栄養素を供給できるようになって、ミトコンドリアで十分にエネルギー産生をできるようになります。すると、お腹の不調が改善するだけでなく、異常な疲れが改善したり、睡眠がしっかりとれるようにもなったりします。
お腹の調子がすぐれない人はぜひ日ごろの生活習慣を見直して、SIBO対策を実行してみてください。
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