低血糖症になっていないかどうかを血液検査データを見て予測する方法について解説します。
(低血糖症の症状などについては「慢性的に疲れやすい、頭痛、朝起きられないetc.様々な不調を引き起こす「低血糖症」について。で解説しています)
血糖値とヘモグロビンA1c
空腹時の血糖値の理想は90~100ぐらいと言われていて、80以下であれば、低血糖症の可能性がかなり高いと言われます。ですが、例えば空腹時血糖が100だったとしても、実は低血糖症というケースもあります。
なぜなら、低血糖症ではただ血糖値が低くなるだけでなく、血糖値が上がったり下がったりして血糖コントロールが不安定になった状態でもあって、採血をした時間以外で低血糖を起こしていることもあるからです。
そこで、過去1~2か月の血糖値の平均値を表す「ヘモグロビンA1c」の値を見てみましょう。ヘモグロビンA1cの理想値は5ぐらい。もしも4.7以下なら低血糖症の可能性大、4.5以下であればまず間違いないといわれます。
ですが、HbA1cはあくまでも平均値ですので、これも低血糖があっても食後の高血糖があれば、平均をとって丁度よい値となってしまう場合もあります。
つまり、血糖値は変動するので、血液検査の血糖値やヘモグロビンA1cを見るだけでは低血糖症かどうかわからない場合もあるということです。
中性脂肪
低血糖症は血糖値が安定しない状態ですので、細胞内にとりこむ糖質の供給が不安定になります。つまり、低血糖症になると細胞が飢餓状態を起こすということです。
細胞が飢餓状態になっていないかどうかをチェックするために使えるのが、中性脂肪の値です。中性脂肪は身体の総合的な栄養状態を見る重要な指標となる項目ですが、この項目が低いと、低血糖症である場合が多いです。
細胞が飢餓状態になってくると、身体は脂質をエネルギーとして使うようにシフトしていきます。その際に、中性脂肪が分解して遊離脂肪酸になりミトコンドリアに取り込まれていきます。つまり、中性脂肪が極端に低い場合、糖質不足のせいで細胞が飢餓状態になっていて脂肪が分解されすぎている状態であると推測できるというわけです。目安は70以下なら低血糖をおこしてる可能性高いと考えられます。
ALTとAST
ALTは主に肝臓と筋肉にあります。肝臓での糖新生に欠かせません。ALTが低いと肝臓での糖新生ができにくくなり、低血糖を起こしやすくなります。
ALTとASTの値が一桁と低かったり、ALTとASTが20以下、かつAST>ALTの差が2以上の場合、低血糖を起こしやすい状態になっていると推測されます。
好中球
低血糖症の人はエネルギー不足なので交感神経が緊張しやすくなります。好中球は交感神経が緊張しやすくなっていないかどうかの指標となります。目安は、好中球が60%以上の場合は注意が必要と言われています。
LDLコレステロール
コレステロールが低すぎる場合、コレステロールを材料にして作られる副腎ホルモンが作られにくくなり、血糖調節がうまくいかなくなると考えられます。
LDLコレステロールが100以下であれば、かなり低いと言えるでしょう。
まとめ
低血糖症である可能性が高いと考えられる血液検査データは以下の通り。
・血糖値が80以下
・ヘモグロビンA1cが4.5以下
・中性脂肪70以下
・ALT・ASTが低い、または20以下かつAST>ALTの差が2以上
・好中球60以上
・LDL‐コレステロール100以下
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