今回は、健康に気をつけている人ならぜひ知っておいてほしい「血糖値と老化の関係」について深く掘り下げていきたいと思います。
血糖値が高いとなぜ良くないの?
高血糖が体に及ぼす悪影響は、私たちが想像している以上に深刻なものなのです。
まず、高血糖が私たちの体に与える影響を理解するために、血糖値とは何かを知っておきましょう。
血糖値とは、私たちが摂取した食品から得られるブドウ糖(グルコース)の血液中の濃度を指します。
正常な範囲の血糖値は、私たちの体がエネルギーを適切に利用し、健康な状態を維持するために重要です。
しかし、血糖値が常に高い状態が続くと、身体にさまざまな問題が生じます。
ブドウ糖は、亀の甲のような六角形の形をしています。
↑普通はこのように
六角形が閉じた形になっているのですが、時々少し口が開いた形のようになって変形したブドウ糖が混じっています。
変形したブドウ糖は、たんぱく質にくっつこうとする性質をもっています。
口が開いているから他の物質と反応しやすいんですね。
高血糖状態では、糖が過剰に存在するため、血液中の糖分子が血管壁のたんぱく質に結合し、異常な物質が生成されます。これを「糖化」と呼びます。
特に変形したブドウ糖のターゲットになりやすいのが、SOD (活性酸素除去酵素)と呼ばれる酵素です。
これにより、SODが糖化すると、本来の力を発揮できなくなり、活性酸素を除去する力が著しく低下して、血管がダメージを受けます。
糖は生きていくために絶対に必要なものですが、血糖値が高くなってブドウ糖の全体量が増えると、それだけ変形したブドウ糖も増え、活性酸素の害が大きくなり血管にダメージを与え、動脈硬化などのリスクも高まります。
さらに、高血糖は組織や臓器にも悪影響を及ぼし、心臓病や脳卒中のリスクが増大したり、全身の老化の進行を促進します。
高血糖が炎症を引き起こす
高血糖状態によって体内にAGEs(終末糖化産物)の蓄積が起こると、免疫系のバランスが崩れ、「炎症性サイトカイン」の産生が増加しやすくなります。
炎症性サイトカインとは、免疫系において重要な役割を果たすタンパク質。
これらのサイトカインは、細胞間での情報伝達や免疫応答の調節に関与しています。
炎症性サイトカインは、例えばTNF-α(腫瘍壊死因子アルファ)、IL-6(インターロイキン-6)、IL-1β(インターロイキン-1ベータ)などがあります。
これらの炎症性サイトカインは、本来は感染や組織損傷に対処するために産生されますが、過剰な炎症性サイトカインの放出は、組織や臓器に悪影響を及ぼすことがあります。
例えば、血管内の内皮細胞に対して炎症性サイトカインが作用すると、内皮細胞が活性化され、炎症反応が引き起こされます。この結果、血管壁が炎症状態になり、血管の機能が低下する可能性があります。
さらに、炎症性サイトカインは酸化ストレスの増加にも関与しています。
つまり、高血糖によって血管内の糖化やAGEsの蓄積が進むと、炎症性サイトカインの産生が増加し、血管内の炎症や酸化ストレスが促進されるということです。
まとめ
血糖値が高いと血管が傷つくメカニズムを知ると、血糖値コントロールと同時に活性酸素対策や炎症対策を行っていくことも欠かせないということもおわかりいただけるかと思います。
対策方法については下の記事をチェックしてください。
また、