血液検査の「尿酸値」からわかること

たんぱく質代謝

血液検査の尿酸について説明します。

尿酸・プリン体とは?

尿酸(uric acid=UA)は、体内の「プリン体」を分解することでできる物質です。
「プリン体」とは、細胞内の「核酸」(DNA・RNAの材料)を構成する物質で、食品では穀物、肉、魚、野菜など食物全般に含まれ、主に旨みの成分にあたります。もちろんヒトの体内にもたくさん存在しています。

プリン体は食品から摂るよりも、実は体内で作られる量の方が多く、体内にあるプリン体の7~8割は体内で作られたものです。

通常、プリン体は体内で分解されて尿酸に変化し体外に排出されますが、尿酸量が排出能力を超え、体内に蓄積されると痛風の原因になることで知られています。

尿酸値は低ければ低いほど良いわけではない!

尿酸はたんぱく質を原料に作られるので、尿酸値が低い場合はたんぱく質不足が予測されます。また、尿酸の原料となる核酸の不足も疑われます。核酸は細胞の生まれ変わりの際にも欠かせないものなので、例えばアンチエイジングのためにも重要です。核酸は肝臓で作られ、赤血球によって全身に運ばれます。

そして尿酸には、体内で作られる代表的な抗酸化物質としての働きがあります。人間がビタミンCをつくることができないかわりに抗酸化物質として働いているのが尿酸なのです。つまり尿酸値が低下している人は、抗酸化力が低く活性酸素を除去する力が弱くなっているということが予測されます。
もしかしたら体内で尿酸をたくさん作っているのにも関わらず、活性酸素が多くて作るのが追い付かない状態になっているのかもしれないということも考えられます。

そのため、尿酸値は低ければ低いほど良いというわけではなく、4以上はあるのが理想的です。(4~5が理想です)

 

尿酸値が低い時の対策

①抗酸化栄養素の摂取

尿酸値が理想値よりも低い時は、積極的にビタミンCやEなど、抗酸化ビタミンを積極的に摂るようにしましょう。色の濃い野菜や果物には、ビタミンだけでなくポリフェノールやフラボノイドといった天然の抗酸化物質が豊富に含まれます。特に、尿酸値が3を切るようだと低いので、活性酸素対策が必須です!

ちなみに、体内で作られる抗酸化物質は、メタルチオネイン、グルタチオンなどで、これらもたんぱく質を原料に作られます。

②たんぱく質を充分摂る

食事でしっかりとたんぱく質を摂るようにしましょう。もちろん、よく噛んで食べることも大切です。消化力が弱い方は消化酵素を摂ることも有効です。

 

(ATP産生が低下しているせいで尿酸値が低くなっている場合もあります)

尿酸値が高くなる原因

次に、尿酸値が高くなる原因を見ていきましょう。

①活性酸素が多い

尿酸値が高値の場合、体内の活性酸素が多いので体内で頑張って作っている状態であるということが予測できます。尿酸は、多すぎても少なすぎても、活性酸素の害が大きい可能性が高いと言えます。

②食生活

精製炭水化物、果糖やアルコールの過剰摂取は特に、尿酸値を上げやすいため注意が必要です。特に果糖には、尿酸の合成を高める働きがあります。スポーツドリンクや栄養ドリンク、甘い果物、果物ジュースなどにも果糖はたくさん含まれています。アルコールが尿酸を作りやすくすることも知られています。「尿酸値が高い=プリン体の摂取を減らせば良い」、と考えがちですが、プリン体だけ減らしただけではだめなのですね。ちなみに食事のプリン体量に影響される尿酸はたったの2割程度です。とはいえ、プリン体の多い食べ物を食べ過ぎないようにすることも大切です。

③尿酸の排泄が悪い

尿酸の排泄が悪い人も高尿酸になりやすいです。排泄を悪くする原因の一つとして、肥満が考えられます。肥満によって高尿酸になるのは、肥満になると余りがちになるインスリンが、尿酸の排泄を邪魔する方向に働くからです。また、遺伝的に尿酸の排泄が悪く、尿酸が上がりやすい体質の人もいるようです。

つまり、高尿酸血症は、尿酸値が高くなりやすい遺伝的な体質に加え、飲食の不摂生や、ストレスなどの環境因子が関わり合って起こると考えられます。

尿酸値が高い時の対策

①ストレスを減らす

高尿酸が気になる方は、アドレナリンを出し過ぎるようなストレスフルな毎日を過ごしていないかどうか、日頃の生活を振り返ってみましょう。

②食生活を見直す

肥満の改善だけでなく、プリン体の多い食べ物の食べ過ぎないようにしたり、アルコール、果糖の摂取も控えるようにしましょう。

③クエン酸を摂る

尿酸を中和して尿排泄させるためには、アルカリが必要となります。そのためには、クエン酸が有効です。クエン酸自体は酸性なのですが、体内での代謝の過程でアルカリ性になるので、尿酸を中和する働きがあるのです。

⓸痛風を予防する

尿酸が結晶化すると痛風になります。痛風は、足の指にできやすいことで知られています。指先の末梢血管は細く、血流が悪いと結晶がたまり、痛風になりやすくなってしまいます。痛風を防ぐためにも、血流を改善することがとても大切です。運動習慣を持つことや、意識的に足の指を動かすようにしましょう。
また、オメガ-3脂肪酸が豊富に含まれるフラックス(亜麻)油などを積極的に摂ることもおすすめです。フラックスオイルには、炎症と痛みを抑える働きがあります。さらに、クルクミや、アントシアニン、ケルセチンなどには、尿酸を抑える働きがあると言われています。クルクミンには強力な抗炎症作用があることでも知られています。

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