血液データを見るときに必要な「逸脱酵素」についての説明です。
「逸脱酵素」とは、本来細胞内で働いている酵素が何らかの理由で血液中に流出したものです。例えば、脂肪肝や肝臓の炎症によって肝臓の細胞が破壊され、肝臓に含まれる酵素であるAST(GOT)・ALT(GPT)・γGTP・LDHなどが通常よりも多く血液中に見られるようになります。
そのため、これらの酵素の血中濃度を測定することで、臓器がダメージを受けていないかどうかを推測することができます。
もちろん、肝臓だけでなく、他の臓器の破壊や炎症によっても逸脱酵素に影響が出ます。例えば、ASTは心臓や筋肉、γGTPは胆管、LDHは心臓や肺や筋肉や赤血球、CPKは筋肉や心臓や脳、というように、その酵素が多く含まれる臓器に破壊や炎症が起こることで、逸脱酵素の値が高くなります。
一方、機能低下や代謝低下の場合、逸脱酵素の値は低下します。また、たんぱく質は酵素の材料となりますので、たんぱく質の不足があれば当然酵素の値も低下しやすくなります。