ゴリラの筋力はハンパない!!
私たち人間は、
『筋肉をつけてムッキムキなカラダになりたい』
と思ったら、たんぱく質をいっぱい食べて、ガンガン筋力トレーニングをするしかありません。
ところが、
草や果物しか食べない草食動物のゴリラは、筋トレをしているわけでもないのに、めちゃくちゃ筋骨隆々なカラダをしています。
これって、不思議だと思いませんか?!
ゴリラの筋力がどれだけスゴイかということを、握力を例に見てみましょう。
例えば、日本人の成人男性の握力は40~50kgぐらい。
プロレスラーや力士などでも100kg前後だと言われています。
ちなみに、
握力のギネス世界記録は192kgだそうです。
すごすぎますね!
それに対して、ゴリラの握力はどのぐらいあると思いますか?
なんと、、
推定400~500kgもあるのだとか!!
ギネス記録に驚いている場合ではありませんね。
人間がどう頑張っても、ゴリラには筋力では絶対に勝てそうにないです。
ゴリラが筋骨隆々な理由
同じ類人猿なのに、人間とゴリラのカラダのいったい何が違うのでしょうか。
実は、
この違いは、腸内細菌の違いであるといわれています。
草食動物は、植物を消化するために長~い腸を持っています。
この長い腸の中に、植物を消化してたんぱく質を作り出すことができる腸内細菌が棲んでいるというわけです。
(ただ、ゴリラがなぜ何もしなくてもあれだけの筋肉を保つことができるのかという仕組みについては、まだよくわかっていないとも言われているようです)
じゃあ、、
人間もゴリラの腸内細菌を「便移植」(腸内細菌を移植する医療処置)したら、草だけを食べて運動しなくても筋肉モリモリになれるんですかね???
と、一瞬思ったけど、、
他の動物間での便移植なんて聞いたことがないし、そもそも筋肉モリモリになる前に他の問題が生じそうなので、そんなことを試してみる人はまずいないでしょう。
ゴリラに限らず、馬や牛なども草食動物ですが普通に筋肉を維持できるのも、腸内細菌のなせる業であると考えられます。
筋肉ムキムキの牛はハードな筋トレをしている?!
牛の中でも、筋肉が異常なまでにムッキムキな牛の写真などを見たことがありませんか?
あれは、「ベルジアンブル―」という品種の牛です。
あの牛さんは、どうやってあんなにムキムキなカラダをキープしているのでしょうか。
なにか特別なエサを食べたり、すごいハードな筋トレでもしているのでしょうか??
実は、
「ベルジアンブル―」はベルギーで生まれた品種で、もともとのきっかけは突然変異だったといいます。
通常、動物の体内では筋肉の細胞の発達を抑える「ミオスタチン」という物質が分泌され、筋肉が必要以上に増えすぎないように調節が行われています。
ところが、
この「ミオスタチン」をつくる遺伝子が変異していて、通常よりも筋肉が2倍ほど付きやすい性質がある牛が生まれることがあります。
このようなタイプの牛を掛け合わせて、数十年にわたって品種改良を重ねることで誕生したのが、あの筋肉ムッキムキな牛さんです。
つまり、ベルジアンブルーは頑張って筋トレをしているわけではなく、もともと筋肉が通常よりも発達しやすい体質であるということです。
ゴリラでも人間に適わないのは「○○筋」
先ほど、「人間は筋力ではゴリラには絶対に勝てない」
と書きましたが、唯一、人間が勝てるカラダの部分(筋肉)があります。
それは、どこの筋肉だと思いますか??
ヒントは、
二足歩行か四足歩行かの違いです。
二足歩行の人間は、股関節を伸ばす必要があります。
と、いえば、もうわかりますね。
正解は、お尻の筋肉です。
人間は大殿筋をはじめとする臀部の筋肉が大きく発達しているのに対して、ゴリラは臀部の筋肉が小さいんです。
でも、ゴリラに勝てたからと言って、喜んでいる場合ではありません。
人間の場合、股関節や殿筋を上手く使うことができていないせいで、腰痛や膝痛といったカラダの不具合も起こしやすいです。
これは、二足歩行へと進化した人間の宿命でもあるといわれていますよね。
だからこそ、正しいカラダの使い方やメンテナンスが大事になってくるわけです。
1日一杯の青汁のみで何年も過ごしている人がいるって本当?!
人間は通常、草食動物のように草だけを食べて生きていくことはできません。
ビーガン(動物性食品を一切摂らない菜食主義者)の人も、葉っぱだけ食べているわけではなく、豆類や穀類などをしっかり食べることで、十分な量のたんぱく質を補給してカラダを維持しているはずです。
ところが、
一日になんと1杯の青汁しか飲まずに元気に生きている日本人がいらっしゃるのを知っていますか?!
そんな「仙人」のようなお方は、鍼灸師の森美智代さんという方です。
森さんは1962年生まれ。
20代の頃に「脊髄小脳変性症」という病気にかかったのをきっかけに、断食や少食療法で有名な甲田光雄氏に師事し、食事療法を始めたそうです。
その後徐々に食べる量を減らしていき、病気も克服し、最終的には1日に青汁一杯と少しのサプリ(ビール酵母・ビタミンC・海の藻)だけの食生活となり、体重も標準体重をキープしながら元気いっぱいに生活しているのだとか。
少食にすることで消化のためのエネルギーを使う必要がなく、カラダの回復力が高まるという理論のようですが、誰でもできることではないかと思います。
普通の人がいきなりトライしても栄養不足で体調を崩してしまうだろうし、精神的にも続けることはかなり難しいはずです。
森さんの腸内細菌を調べてみると、草食動物に近い構成になっていて、普通の人と比べるとかなり特殊な状態になっているといいます。
長年続けた食事療法によって、青汁だけでも生きていけるように腸内細菌が適応していったということですね。
ヒトのもつ生命力や適応能力って、本当にすごいですね!!
森さんの場合、もともと持っていた腸内細菌叢が適応しやすい種類だったり、遺伝的にも小食に耐えらえる体質だったり、いろいろなことが重なって、良い方向に働いているのだと推測されます。
森さんは自身の著書で、
「私は1日青汁一杯の食事になって食べる楽しみは失ったけど
その代わり生きる楽しみを得ました」
と語っています。
もちろん、
普通の人が何も考えずに森さんの真似をして青汁だけ生活を始めたり、「青汁だけ」まではいかないにしても、極端にたんぱく質の摂取を減らして草食動物と同じような腸内細菌叢を獲得しようとすることは難しく、たんぱく質不足による弊害が出てしまうことでしょう。
森さんも、
これまで1日三食の食事を普通に摂っていた方が、いきなり青汁一杯の食生活をすることはとても危険だし、決して自己流ではやらないように。
としています。
でも、もしも、
これからの未来、人間が特に我慢したり苦労することもなく、
少しの青汁だけで生きられるようなカラダに進化していったとしたら、、、
世界中の飢餓の問題は解決するし、食べるために動物を殺す必要もなくなるし、
食費もかからないし、毎日の献立に悩む必要もないし、食べすぎによる生活習慣病もなくなるし、『これはもしかすると、動物が豊かに生きるための、めちゃくちゃ究極の方法なのかもしれない!』
と、ちょっとだけ空想してしまうのでした。