結局のところ、牛乳はカラダに良いの?悪いの??

カルシウム

骨=カルシウム? 

 牛乳はカルシウムを豊富に含む食品です。
ところで、
「骨を強くする=カルシウム」というイメージを持っていませんか?

骨は、毎日新陳代謝を繰り返しています。
健康な成人では、一年間に5~
10%の骨が新しいものに置き換わるといわれています。
骨が作られるためには、コラーゲンや、カルシウム、マグネシウム、ビタミンB群など、様々な物質が必要で、これらのうち一つでも欠ければ骨は成り立ちません。
 

例えば、「ビタミンB6B12・葉酸」などといったビタミンB群が不足すると、血液中の「ホモシステイン」という物質がスムーズに代謝されなくなります。血中のホモシステイン量が多くなると、骨のコラーゲンの質が悪くなり、骨折しやすくなるということがわかっています。


オランダのある研究グループの試算によると、高齢者の骨折の原因として、「低い骨密度」によるものは
13%にすぎず、「血中ホモシステインが高いために起こる骨折」は19%であったということです。
もちろん、骨の材料としてカルシウムが必要であることは間違いないのですが、「骨
=カルシウム」という発想はあまりにも安易で、危険でもあるといえます。 

健康な骨を作るためのミネラル 

 カルシウム 

体内に存在するカルシウムの内訳は、99%が骨や歯に、残りの1%が血液や筋肉、神経内に存在します。実は、このわずか1%のカルシウムが、筋肉の収縮や神経伝達、血液凝固、細胞分裂、ホルモンの分泌、免疫反応など、非常に重要な役割を担っています。 

血液中のカルシウムが不足したり、血液の成分が変化したりすると、骨吸収(古くなった骨を壊す)と骨形成(新しい骨を作る)のバランスが崩れ、骨からのミネラル、特にカルシウムが溶出してしまいます。この現象を、「脱灰(だっかい)」といいます。
溶け出した過剰なカルシウムは、血管壁に沈着して血管を詰まらせたりします。
また、過剰なカルシウムが血管や筋肉の細胞内に入り込むと、全身にさまざまな悪影響を及ぼします。

サプリメントなどでカルシウムを摂りすぎた場合も、行き場をなくしたカルシウムは同じように身体に悪影響を与えますし、過剰なカルシウムが腎臓結石などの原因になることもあります。

また、カルシウムを摂りすぎると鉄や亜鉛・マグネシウムなど、他のミネラルの吸収を阻害することもわかっています。

従って、カルシウムを単体でたくさん摂ることはカラダにとって負担がかかるということです。カルシウムの摂取源としては、大豆製品や海藻類、野菜類(特に緑黄色野菜)などがお勧めです。 

 

リン 

 リンは、カルシウムに次いで体内に多く存在するミネラルで、カルシウムと結合して骨の構成成分となります。一般に、リンとカルシウムは同量の比率で摂るのが理想であるといわれており、リンの過剰摂取はカルシウムの吸収率を阻害してしまいます。

リンは魚介類、肉類、乳製品、豆製品など、さまざまな食品に含まれています。その中でも、肉や魚、卵などといった動物性食品はカルシウムに対してリンの割合が多く含まれます。


摂取したカルシウム対してリンの量が多いと、骨からカルシウムが失われてしまいますので注意が必要です。
 

特に、リンは食品添加物(リン酸塩)として加工食品(清涼飲料・加工肉・インスタント食品・レトルト食品)などに多く含まれていますので、こういった食品の摂りすぎは、リンの過剰摂取につながります。 

マグネシウム 

マグネシウムも骨を形成する重要ミネラルのひとつです。
さらに、マグネシウムは細胞内外のカルシウムの比率をコントロールしています。
カルシウムを多く摂ると、マグネシウムの必要量も増え、カルシウム1に対しマグネシウム2の割合で摂るのが理想的といわれています。
マグネシウムは、魚介類やゴマなどの種実類、大豆、玄米などに多く含まれています。
 

では、カルシウムを多く含む食品の代表選手ともいえる牛乳のカルシウムとマグネシウムのバランスはどうでしょうか。
牛乳の場合、なんとCa:Mg比が11:1と、圧倒的にカルシウム比が高いのです。
従って、牛乳はカルシウムをたくさん含んでいるけれど、カルシウムとマグネシウムのバランス(カルマグバランス)を崩しやすいという問題点が指摘されています。

骨からミネラルが溶け出してしまう「脱灰」を防ぐには? 

 ★脱灰を促進させる原因となるもの・・・

リン(食品添加物)の摂りすぎ 

砂糖の摂りすぎ 

タンパク質の摂りすぎ 

女性ホルモンであるエストロゲンの分泌低下 

マグネシウムの摂取不足・過度のストレスやアルコール摂取によるマグネシウムの損失 

ヒアルロン酸、グルコサミン、マンガンなどの欠乏 

アルミニウム・鉛・カドミウムなど、有害重金属 

酸性物質の過剰摂取は脱灰を招く

脱灰を促進する要素の中で重要なもののひとつに、摂りすぎたタンパク質や糖分から生じる酸性物質があります。これらの影響で血液は酸性傾こうとします。
血液を弱アルカリ性に保つことは、私達の身体にとって非常に大切です。血液が酸性になりすぎると、人間は死んでしまいます。一方、カルシウムはアルカリ性のミネラルです。このため、血液を酸性にする食品をたくさん食べると、骨からカルシウムを抜き取り、それを使って血液が中和されるのです。
動物性食品は血液を酸性にする力が強い食品で、果物と野菜の多くはアルカリ状態を作るといわれています。
 

「血液が酸性に傾く」という考え方には、異論を唱える人もいます。「体内には恒常性が働いているから、血液のphが変化することはない。そんなに簡単に酸性に傾いたりしたら、人間は死んでしまう」というのです。しかし実際には、血液のphを調整するという恒常性こそ、まさに脱灰と再石灰化のバランスによって維持されているシステムなのであり、私達の身体は文字通り「骨身を削って」血液の状態を安定させ、生きていくための恒常性を働かせているのです。 

実際、動物性タンパク質を多く摂取すると、カルシウムが尿中に排泄され、カルシウムの必要量が増加することが複数の研究で示されています。
カルシウムを非常に多くとった場合でも、タンパク質を摂りすぎればそれに応じて血中のカルシウムが不足し、骨から失われるカルシウム量が多くなるということがわかっています。
 

 昔から「お肉を食べたらその分野菜もいっぱい食べたほうが良い」と言われるのは、酸性食品とアルカリ性食品のバランスを取るという意味合いもあるからなのですね。

 

牛乳を飲めば飲むほど、骨が弱くなり、不健康になる?! 

 牛乳には、カルシウムが豊富に含まれ、その吸収率も高いため、「骨の健康のためには乳製品」というのは半ば常識のようになっています。
その上、栄養学上は、タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルをバランスよく含み、非常に栄養価の優れた食品といえます。
しかしその反面、乳製品の害についての研究報告も発表されているんですよね。
 

 例えば、結構昔の本ですが、アメリカのジョンロビンス氏著「エコロジカルダイエット」によると、次のような内容のことが書かれています。 

★世界各地で見られる骨粗しょう症は、タンパク質摂取と関係があるという報告がある。世界の健康統計によると、骨粗しょう症は大量に乳製品を消費している国―アメリカ、フィンランド、スウェーデン、イギリスなどで最も多く見られる。タンパク質の摂取が多い国ほど骨粗しょう症が多くみられ、症状もよりひどくなっている。 

★WHOの専門家グループは、「一日のカルシウム摂取量が300mg未満であっても、健康に害を及ぼすという確たる証拠はない」と結論付けている。(日本人成人1日あたりのカルシウム所要量は600mgとされている) 

★アフリカのバンツー族の女性は1日にカルシウムを350mgしか摂らないが、摂取するタンパク質の量が少ないので、カルシウム不足におちいることはなく、骨粗しょう症にかかることはまずない。(彼女達は一生のうちに9人の子供を育て、1人につき2年間母乳を与える)
ちなみに「バンツー族がカルシウムの摂取量が少ないのに骨の密度が高いのは、遺伝的要素による」という意見もあるが、バンツー族に近い種族であるのにアメリカに住んでいて標準的なアメリカの食事をしている人々は、白人と同じレベルで骨粗しょう症に悩まされているということはなぜか。
 

★イヌイットは世界で最もカルシウムの摂取量が多く、一日に2000mg以上を魚の骨からとっている。また、タンパク質の摂取量も世界一多く、一日に250gから400gを魚、セイウチ、鯨からとっている。そして、イヌイットは世界で最も骨粗しょう症にかかりやすい民族のひとつである。 

★1980年代、ミシガン大学をはじめとする主要大学の研究者達は、この種の研究では最大規模の研究を行なった。この結果はジャーナルオブクリティカルニュートリジョン誌に発表された。 

・・・アメリカ国民が65歳までに失う骨の量を計測した結果・・・ 

男性ベジタリアン 平均3%    男性肉食者 平均7% 

女性ベジタリアン 平均18%   女性肉食者 平均35

 ★ブリティッシュメディカルジャーナル誌は、カルシウムの摂取が骨の損失とは全く関係がないことを示す研究結果を報告した。 

・・・閉経後の女性を対象に、2年間毎日以下の通りカルシウムを摂取してもらった結果・・・ 

①550mg以下のグループ 

②5501100mg 

③1100mg以上 

二年後、3つのグループの人々の骨を調べたところ、骨の損失状態の程度に違いはまったくみられなかった。被験者の中には、食事および補助食品から一日2000mgという大量のカルシウムをとっていた人もいたが、補給をまったく行なわず、摂取勧告量よりも少ないカルシウムしかとっていない女性の場合と、事実上、変わりなかった。 

 ★アメリカの食事と病気の関係についての医学分野における権威、ジョン・マクドゥーガル博士は、骨粗しょう症に関する医学研究を要約して 『過去55年間、多くの研究が行なわれたが、結果は一致している。骨の強さを維持するためにカルシウムバランスをプラスにしたいと思ったら、食事を変えて、毎日食べるタンパク質の量を減らすことだ。大事なのは摂取するカルシウムの量を増やすことではない』 

★関節炎も、多くの人を悩ませている疾患の一つである。アメリカのウエイン州立大学医学部の学者達は、食事と関節炎は何らかの関係があるのではないかと考え、調査を行なった。彼らは6人の関節リューマチ患者に無脂肪の食事を食べさせてみたところ、その結果は驚愕すべきものだった。 

7週間後に被験者全員の症状がきれいに消えてしまった。そして脂肪を再び食事に入れると、たった3日で症状がまた現れた。11年の間関節リューマチを患い、症状が悪くなる一方だった38歳の女性の場合、食事から全ての乳製品を追放してみたところ、3週間後、良くなる兆しが現れ、4ヵ月後には関節炎の症状が完全に消えた。彼女が好奇心でチーズと牛乳を少し摂ってみたところ、翌日、関節が腫れ、痛んだが、再び乳製品を断つと、症状は消えた」 

 ★発展途上国では、低脂肪・低コレステロール・タンパク質の量もほどほどで加工食品なども摂っていない国では、激しい肉体労働をしてきた老人でも、一生関節炎とは無縁であることが普通なのである。難病で、原因不明といわれている「多発性硬化症」も、動物性食品や牛乳の消費量とかなり密接な因果関係があることがわかってきている。 

こういった情報が出回るようになったことが、「牛乳は完全栄養食」であるという考え方が一般的だったのに対して牛乳有害説を唱える人も増えるようになったゆえんであるといえます。

もちろん、乳製品だけでなくたんぱく質の過剰摂取による害も考えなくてはなりません。

その一方、ヘルシー志向に偏りすぎてたんぱく質不足に陥ってしまう人もいたりして、「栄養バランス」って難しいですよね。

日本酪農乳業協会による見解について

日本酪農乳業協会の「牛乳乳製品健康科学会議」では、牛乳有害説に対し、以下のように反論しています。

☆Q、牛乳は、かえって体内のカルシウム量を減らしてしまうのですか? 

A、牛乳を飲んだりして血液中のカルシウム濃度が上がると、カルシトニンの働きにより骨から血液中に出てくるカルシウムの量は少なくなります。すなわち、血液中のカルシウム濃度があがるとカルシウムは骨に蓄積され、体内のカルシウム量が減るということはありません。日本人の多くはカルシウムの摂取量が不足しています。カルシウムはもともと消化吸収率の低い栄養素ですが、牛乳では牛乳中のタンパク質であるカゼインの消化によって生じるカゼインホスホペプチドや乳糖の働きでカルシウムの吸収が高められています。日本人の若年女性を対象とした試験結果によると、カルシウムの吸収率は、牛乳40%、小魚33%、野菜19%と、牛乳のカルシウム吸収率が優れていることが報告されています。 

(※カルシトニン:カルシウム調節ホルモン) 

 

☆Q、牛乳をたくさん飲んでいる人ほど骨粗しょう症になりやすいのですか? 

  世界4大酪農国であるアメリカ・スウェーデン・デンマーク・フィンランドでは、大腿骨頸部骨折と骨粗しょう症が多いのですか? 

A、牛乳・乳製品の摂取量を増やすと、小児期では骨量が増加し、中高年期では閉経後の骨量減少が抑制されることが厚生労働省の研究などで検証されています。逆に、牛乳を飲むことで骨粗しょう症になるとの報告は国内・海外とも全くありません。北米では他国と比べて骨折が多い傾向にありますが、これは運動の種類や量、カルシウムの体内への吸収に大きな関わりを持つ日光などの影響があるためで、牛乳が原因とは考えられません。 

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 ちなみに、北米で大腿骨骨折と多いということに対しては賛否両論があります。日照時間の影響だけでなく、「欧米人は足が長い上に、雪の多い地域では転倒リスクが高い。乳製品の摂取量とは関係ない」などといった意見も多いですね。
しかし、上記の条件を考慮した上でも、かなりの量の牛乳・乳製品を多飲・多食しているこれらの地域での骨粗しょう症が多いというのは、乳製品の影響ももしかしたらあるのかもしれません。
尚、日本酪農乳業協会は、タンパク質の摂取量が増えるとカルシウムの必要量も増えるという点については触れていません。
 

 

日本における骨折リスクに関する研究結果 

杏林予防医学研究所所長の山田豊文氏著「体を守る栄養百点満点の健康法」に書かれている、日本における骨折リスクに関する研究結果をみてみましょう。

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1996年に発表された、「わが国の大規模調査による大腿骨頸部骨折の症例対象研究」では、さまざまな生活習慣が大腿骨頸部骨折のリスクに対してどのように影響するかについて、それぞれ数値化、比較されています。 

数値は「オッズ比」で表されていて、オッズ比が1より大きい場合リスク増、1未満はリスク減となります。 

この研究によると、牛乳やチーズ、乳製品を日常的に摂取している人では骨折のリスクが非常に高くなっており、その数値は、自力で入浴や家事ができなかったり、寝たきり状態が続いていたりするといった要因と同等、あるいはそれを上回るほどなのです。 

 

大腿骨頸部骨折のリスク比較 (「オッズ比」が1より大きい場合リスク増、1未満はリスク減) 

リスクが減らすと考えられる要因 

オッズ比 

リスクを増すと考えられる要因 

オッズ比 

薬物治療を受けていない 

0.38 

自力で家事がこなせない 

1.54 

運動をよくする 

0.46 

肉類の食習慣(週2回以上) 

1.59 

日本茶をよく飲む(一日3杯以上) 

0.59 

糖尿病の既往歴 

1.98 

魚をよく食べる(週3~4回) 

0.60 

自力で入浴できない 

2.09 

アルコールを適量飲む(1合未満) 

0・61 

牛乳の飲用習慣(一日2杯以上) 

2.14 

硬いものでもよく食べられる 

0.70 

最近6ヶ月の不眠 

2.44 

 

 

2,3ヶ月の寝たきり 

2.89 

 

 

コーヒーの多飲(一日3杯以上) 

3.23 

 

 

ヨーグルトの食習慣(一日1杯以上) 

3.46 

 

 

チーズの食習慣(一日1切れ以上) 

3.99 

 

 

脳卒中の既往歴 

4.68 

 (表の下にいくほどリスクが上がる) 

一般常識で考えれば、乳製品は骨を強くするはずではなかったでしょうか?
この研究の結論では、乳製品がリスクを高めるという結果が出た項目については全くふれられていないそうです。ちなみに
研究者は、この論文の全文が掲載されている英語版においては、「成人期における乳製品の大量消費は骨折のリスクの重大な増加と結びついている」ということを認めています。

研究当初、乳製品は、リスクを下げる要因として考えられていたと思われます。
ところが、予想に反して常識を覆すような結果が出てしまい、つじつまがあわなくなってしまったようです。

しかも、この研究チームの中には、日本酪農乳業協会と関係の深い「業界有識者」が名前を連ねているのだとか。


研究者はこれまでさんざん牛乳や乳製品を奨励してきた手前、急に方向転換するわけにはいかないし、乳製品メーカーを守らなければならない、しかし、さすがに事実を隠蔽するのははばかられたのか、できるだけ波風を立てないように、日本国内ではこのような事実が大々的に人々に知らされることもなく、単なる研究結果として、数値を事務的に報告したのではないかと述べられています。

 

牛乳アレルギーは様々な不快症状を引き起こす ?!

牛乳を飲んでいる乳児や幼児に慢性的な下痢や、鉄欠乏性貧血が見られる場合、牛乳アレルギーが原因で大腸炎を起こしていることがあります。

牛乳や乳製品の摂取はアレルギー体質を作る可能性が高く、妊娠中の母親が牛乳を飲むと、子供にアトピーが出やすくなることがあります。牛乳アレルギーをもつ子供には、湿疹・反復性の嘔吐・再発性の鼻づまり・再発性の気管支炎などの症状も頻繁にみられ、乳児が牛乳を飲み始める時期が早ければ早いほどアレルギーを起こしやすくなるといわれています。 

 牛乳がアレルギーを引き起こしやすいのは、牛乳に多く含まれる「αカゼイン」と呼ばれるたんぱく質は、人間の消化酵素では分解されにくいからです。

ちなみに乳製品の一つであるバターはほとんどの成分が脂質なので、カゼインの量はほんのわずかです。バターを煮詰めた「ギ―」は完全なカゼインフリー食品ですね。

 

「なぜ牛乳は身体に悪いのか」の著者、フランク・オスキー博士は以下のように述べています。 

★アメリカの小児科医ダン・バゲット医師の報告によると、「関節炎・虫垂炎・ぜんそく・溶連菌感染症なども、牛乳の摂取との因果関係がある。牛乳を食事から除去するだけで病状が改善・完治した」としている。 

学習障害や多動のある子供の多くは牛乳アレルギーであることが多い。(砂糖・トウモロコシ・小麦・卵などもアレルギーを引き起こしやすい) 緊張や慢性疲労・頭痛・関節痛・鼻づまりなどの症状も、食物アレルギーが疑われる。アレルギーの原因となっている可能性のある食物を1週間から3週間にわたって除去することを勧める。もしその食物が実際に原因であれば、症状は短期間のうちにかなり改善する 

精神科医のニューボルト医師は、多くの患者を診察し、観察した結果、「大人であれこどもであれ、不眠・不安・抑うつなどの症状を最も引き起こしやすい食品は牛乳だ」としている。 

 ★牛乳と、子供の白血病や糖尿病の発症に関する研究論文が多数出ている。イギリスの権威ある医学雑誌「ランセット」にも、牛乳が白血病の原因となるおそれがあるということが掲載されている。 

 ★市販されているウシの約8割は妊娠していて、妊娠中のウシは絶えず「プロゲステロン」というホルモンを分泌しています。そのため多くの牛乳にはプロゲステロンが混入している。過剰なプロゲステロンはにきびの一因となります。思春期のにきび患者は、牛乳を多飲していることが多いという報告がある。 

 ★牛乳には、世界中のほとんどの人にとって有害な症状を引き起こす乳糖・多くの乳幼児にアレルギーをおこすタンパク質・すべての成人にとって気がかりな乳脂肪の3つが含まれており、世界中のあらゆる年齢の人々に健康被害を及ぼすおそれがあるため、完全食品の名に値しない。酪農業界は、マスメディアを通じて牛乳を宣伝し、牛乳が完全栄養であるかのように国民に信じ込ませている。マスメディアは乳業会社がスポンサーになっているために、牛乳の価値に意義を唱えるような報道をしようとしない。 

 

沖縄の元気な百寿者は、乳製品をほとんど摂らない 

ニューヨークタイムズ紙に2001年のベストセラーとしても紹介されている「THE OKINAWA PROGRAM(沖縄式食生活革命)では、長寿の地、沖縄の人々を対象に、25年の歳月をかけて長寿の秘訣を研究・調査した結果がまとめられています。
この本によると、沖縄の百寿者(100歳以上の人)が乳製品をほとんど摂らないのに、股関節骨折率が非常に低いこと、カルシウムの摂取が骨粗しょう症のリスクを軽減すると裏付けた研究がほとんどないこと、あまり乳製品を摂っていない地域ほど骨粗しょう症がむしろ少ないことなどにふれ、乳製品や肉類といった高たんぱく食品による脱灰の危険性も指摘しています。
また、飽和脂肪酸の過剰摂取につながることや、乳糖不耐症(牛乳の消化不良)をはじめとする食性の問題、さらに乳幼児の食物アレルギーなど、乳製品の摂取にともなうさまざまなリスクをあげ、決して積極的にとるべきではないことを強調しています。
 

 

 ベストセラー「病気にならない生き方」にも、牛乳有害説が書かれている 

 2006年にベストセラーとなった新谷弘実医師の「病気にならない生き方」などの影響もあり、「牛乳や乳製品を積極的に摂るべきではない」という話を一度は見聞きしたことがあるという方も多いかもしれません。 

胃腸内視鏡の権威で、日米でおよそ30万例の内視鏡検査を行なってきた新谷氏は次のように述べています。 

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★牛乳の飲みすぎこそ骨粗しょう症を招く。人間の血中カルシウムは通常910mg/100ccと一定しているが、牛乳を飲むと、血中カルシウムは急激に上昇する。そのため、一見するとカルシウムが多く吸収されたように思いがちだが、実は急激にカルシウムの血中濃度が上がると、身体は血中カルシウム濃度をなんとか通常値に戻そうとして、余剰分のカルシウムを尿から排泄してしまう。するとかえって体内のカルシウム量を減らしてしまうという皮肉な結果を招く。牛乳を毎日たくさん飲んでいる世界四大酪農国であるアメリカ・スウェーデン・デンマーク・フィンランドで、股関節骨折と骨粗しょう症が多いのはこのためである。これに対し、日本人が昔からカルシウム源としてきた小魚や海藻類に含まれるカルシウムは、血中カルシウム濃度を高めるほど急激に吸収されることはない。 

★毎日ヨーグルトを食べているという人で、よい「腸相」の持ち主に出会ったことがない。ヨーグルトを常食していると、腸内環境は悪くなっていく。これは30万例の臨床結果から自信をもっていえる。 

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この著書に対し、「牛乳乳製品健康科学会議」は、新聞記事にて「牛乳有害説には科学的根拠がない」と反論しています。
また、「
WHOは牛乳の多飲が骨折の原因であるとは述べていない。新谷氏の主張は、研究論文の都合の良い部分だけを引用しているのにすぎない」としています。

 

牛乳の糖質は消化器症状を引き起こしやすい 

 一般に、乳糖はカルシウムの吸収を促進するといわれているため、カルシウムと乳糖を含む牛乳は、良いカルシウム源となるといわれています。 

しかし、乳製品に含まれる「乳糖」という糖分を分解するためには、「ラクターゼ」という体内の酵素が必要になります。ラクターゼは母乳を飲む乳児に多く、年齢を減るごとに減少していきます。ラクターゼが少ないか、欠損していると、乳糖を分解できません。これを「乳糖付耐症」といい、腹痛・腹部腹部膨満感・けいれん・ゲップ・放屁・下痢など様々な消化器症状を引き起こします。

それでは実際に、乳糖不耐症の人がどのぐらいいるのでしょうか。

1965年のジョンズホプキンス大学医学部の研究グループの調査によると、世界中の人類の大多数が乳糖不耐症であった。(白人の15%・アフリカ黒人の90%・日本人の85%) 乳糖を消化吸収できるかどうかは遺伝的に決定されていることと、生存のために牛乳に依存した食生活を送ってきた部族は自然淘汰の課程でラクターゼの分泌を維持する突然変異を起こす確立が高く、乳糖を分解できる大人も多いということもわかっている。(診断基準によっては、日本人の乳糖不耐症は20%だけであるという意見もあります) 

牛乳をたくさん飲むとお腹がゴロゴロしたり痛くなる人は、乳糖不耐症であると考えられます。
ヨーグルトは、発酵の過程で乳糖が分解されており、含まれる乳糖が減るため、乳糖不耐症の人にとっては、牛乳よりは消化しやすい食品であるといえます。
 

 

ゲーリープレーヤーも、「牛乳はドク!」 

 南アフリカのプロゴルファー、ゲーリープレーヤーは、70歳を超えても精力的にシニア大会に出続け、「ミスターフィットネス」とよばれるほど筋力トレーニングに打ち込んでいたことでも知られています。彼は、大の日本びいきであることでも知られていて、日本のあるゴルフ雑誌のインタビューで、「鍛えることより、何を食べるかの方が大事。バター、肉、牛乳、ピザ、アイスクリーム、動物性タンパク質はダメ! フルーツ、豆腐、それに野菜をたくさん。私は日本人が昔から食べていたような物を食べているから元気!」と述べています。

牛乳が歯をぼろぼろにする?? 

 1975年、歯のトラブルと牛乳との関係について注目したデンマークのブルーンという医師がいました。ブルーン医師は、スウェーデンの酪農家の人たちに極端なカルシウム欠乏症が認められることを指摘し、彼らが大量に牛乳を飲む生活を送っていた点に目をつけ、彼らのうち数名に牛乳を飲むことをやめさせました。

半年後、彼らの体調はどうなったと思いますか?

報告によると、牛乳をやめた人たちの歯は健康状態を大きく取り戻したのに対し、牛乳を飲み続けた人たちは依然としてカルシウム欠乏のままであったといいます。 

また、いまから60年以上も前、有名な研究者で歯科医師でもあったプライス博士は、世界各地の未開拓種族を尋ねて食事と歯との関連を調査し、「食生活と身体の退化」という本にまとめました。

その中でプライス氏は、「自分たちが出会った人々は老若男女、みんな健康で元気がよく、歯のトラブルもなかった。しかし、店で売っているような商業的な食品に頼り、伝統的な食事を捨てた民族では、現代社会に見られるような他の病気とともに、虫歯などの病気も急増していった」と書いています。 

もちろんこれは、乳製品の害だけでなく、精製糖質や加工食品、ビタミンミネラル不足や脂肪酸バランスなど、さまざまな要素が関係していると考えられます。

乳がん・前立腺がんと牛乳 

欧米では、がんと動物性食品の関係についての数多くの研究結果が報告されています。
特に、乳製品の摂取と、乳がん・前立腺がんは関係が深いとする意見が多くみられます。

大阪府立成人病センター泌尿器か副部長の目黒則男氏も、毎日新聞に掲載されたコラムにおいて、前立腺がんの危険因子として食事を挙げ、「肉・油物・砂糖・そして牛乳」と明記しています。
また、2008年の朝日新聞の記事によると、「牛乳やヨーグルトといった乳製品を多く摂取すると、前立腺がんになるリスクがあがる可能性があることが、厚生省労働省研究班の調査でわかった」としています。(この研究班の結論としては、乳製品による前立腺がん増加の原因を飽和脂肪であると説明しています)
 

乳がんや子宮がんのリスクが上がるのは、雌乳由来のエストロゲンが原因となっていると考えられます。

イギリスの科学者ジェイン・プラント女史著「乳がんと牛乳」は、世界16カ国で出版され、400万部のベストセラーとなっています。筆者は、乳がんの乳房切除手術後、4回再発し、リンパ節にも転移する進行性のガンに侵され、病と闘いながら、科学者の目で多数の科学的証拠を検証し、「乳がんの根本的な原因は乳製品である」としています。 

この著書によると、

★東洋では、欧米と比べて伝統的に乳がんと前立腺がんの発生が少ない。しかし、欧米に移住した東洋人の乳がんと東洋人の乳がん発生率は、世代を重ねると西洋人の発生率に近づく。 

★東洋でも経済発展につれて、牛乳・アイスクリームなどの乳製品や、バーガー・ソーセージなどといった乳牛肉の加工食品の消費が増えるようになった。このような国々では乳がんと前立腺がんが増えている。その典型が日本である。中国都市部の乳がん・前立腺がんの死亡率も、地方の死亡率より有意に高い。 

★遺伝的に発生する乳がんは全乳がんの5~10%にすぎない。しかも、遺伝的リスクの高い女性の全てが乳がんになるわけではない。乳がん細胞の分裂・増殖を促す因子を取りこまないことによって乳がんリスクを減らすことができる。 

★乳・乳製品や乳牛の肉は、「インスリン様成長因子」と呼ばれる細胞の分裂・増殖を刺激する物質や「硫酸エストロゲン」などのホルモンを含んでいる。「インスリン様成長因子」とエストロゲンは、乳がんや前立腺がんの培養細胞の分裂・増殖を促すことが知られている。また、血中の「インスリン様成長因子」の濃度が高いと、更年期前の女性は乳がんになりやすく、男性は前立腺がんになりやすいということがわかっている。 

そして何よりも、著者自身が全ての乳製品(乳牛の肉も含む)を食べないようにしてから、頚部リンパ節に転移して治らないといわれていた乳ガンが数週間で消えたことが、乳がんと牛乳は関係があるという疑いのない証拠だと述べています。

うーむ、、
こんな情報ばかり見ていると、牛乳ってかなりカラダに良くない感じがしてきましたね。

高齢者と動物性食品 

 ここまで牛乳の悪い面ばかり書いてしまいましたが、次は良い面について。

高齢者は、乳製品も含め動物性食品をしっかり食べるべきだという意見もあります。これは、高齢者の一部において、血中のタンパク質の指標である「アルブミン値」が低値になっているということに基づいています。

アルブミンは、食事から摂ったタンパク質を原料に肝臓で合成され、ホルモンを全身に運んだり、傷ついた細胞の再生を促すなどの働きをします。
アルブミンが少ないと、老化が早まる、気力・体力・免疫力が低下する、などといった弊害が起こります。加齢とともに、胃腸や肝臓の働きが弱くなるので、高齢になるほどアルブミン値は低下しやすくなります。
尚、アルブミン値は栄養状態よりも他の原因(感染症・外傷・肝疾患・腎疾患)で変化することもあります。しかし、加齢とともに少食・偏食となり、低栄養状態が続くことによって起こる弊害も複数報告されているのも事実です。食の細い高齢者にとって、乳製品は効率よくタンパク質を摂取できるという利点があるのかもしれません。 

 もちろん乳製品に限らず、動物性食品の摂取は大事です。

東北大研究チームの調査によると、食生活が野菜などに偏ってあまり肉類を食べない高齢者が、寝たきりにつながる転倒骨折をする危険が、そうでない人に比べて3倍近く高くなるという調査結果を報告しています。 

「平成1418年、仙台市に住む70歳以上の男女877人を対象に調査。4年間に交通事故などを除く転倒骨折をしたのは877人中28人。食生活と骨折の関連性を解析したところ、野菜を毎日のように食べるが肉類はほとんど食べない人の骨折リスクは、そうでない人に比べ2.7倍高かった。同様に、2日に1回以上は肉類を食べる人の骨折リスクは2.8倍低かった。」 

東北大の岩崎准教授は、「欧米では肉食中心の食生活は骨密度を下げるとする調査が多いのに対し、意外な結論だが、欧米に比べて日本の高齢者は肉類の摂取量が少ないためかもしれない。野菜に偏りがちな人は、意識的に肉類を食べるようにした方が望ましい」としています。 

99歳までお元気に活動されていた瀬戸内寂聴さんも、大のお肉好きだったことでも有名です。

話が乳製品から肉へとそれてしまったので元に戻すと、牛乳を毎日しっかり飲んでいて高齢になるまで健康を維持していた有名人も結構いらっしゃるんですよね。

105歳で亡くなる数か月前まで医師として診察を行っていたという日野原重明氏の毎日のランチは、なんと牛乳とクッキーだったのだとか。

「三石理論」で有名な三石巌先生も、めちゃめちゃ牛乳推し派の一人ですが、95歳までお元気に活動されていました。(三石先生の本はたくさん出ていてどれもとても勉強になります。→「医学常識は嘘だらけ」)

なんだかんだ言っても牛乳はたんぱく質やビタミンミネラル豊富な栄養ドリンクなので、それがプラスに働いたのか、毎日牛乳を飲んでも大丈夫なぐらい強靭な腸と肉体を遺伝的にお持ちだったからそこまで元気に長生きできたのかは定かではありませんが、、。

栄養療法の世界では、カルマグバランス(カルシウムとマグネシウムのバランス)やカゼインによる腸へのダメージ、乳糖不耐、ホルモンへの悪影響などを考えると、できるだけ乳製品は控えた方が良いという考え方が主流ではありますが、意外とそんなに目の敵にしなくても、大丈夫な人は大丈夫なのかもしれません。(なんとも適当なまとめ方ですみません。)

ただし、すでに何らかの慢性的な不調を持っている場合は、乳製品の摂取を控えるという選択肢もあるということを思い出してみてください。

 

 

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