筋肉をゆるめるために筋肉を鍛える?!「相反神経抑制」を腰痛・肩こりに活用する方法

 

「相反神経抑制」とは??

「相反神経抑制」(そうはんしんけいよくせい)という言葉を知っていますか?

相反神経抑制とは、ある筋肉が収縮すると、その反対側の筋肉が自動的に抑制されるという神経のメカニズムです。

脳からの指令によって筋肉運動を行う時、運動ニューロンが興奮し、収縮を引き起こす筋肉が活性化されます。

同時に、相反する筋肉を制御する抑制ニューロンが活性化し、その筋肉の活動を抑制するのです。
これは、脊髄レベルでの反射的な活動です。

わかりやすい例を挙げるとすると、、

腕の前側にある上腕二頭筋(力こぶの筋肉)が収縮した時に、腕の後面にある上腕三頭筋も縮もうとしてしまっては、腕を上手く曲げることができませんよね。

そこで、腕の後面にある上腕三頭筋(力こぶの裏側の二の腕の筋肉)は相反神経抑制によって弛緩ししやすくなります。

このような現象によって、腕の曲げ伸ばしをスムーズに行うことができるわけです。

同じ原理で、太ももの前面(大腿四頭筋)を収縮させると、太ももの後面(ハムストリングス)がリラックスして、緊張が和らぎやすくなります。

つまり「相反神経抑制」は、運動の安定性や制御、正確で滑らかな動きを行うために欠かせないメカニズムであると言えます。

この原理は、リハビリテーションやスポーツ医学の世界でも広く活用されています。

「相反神経抑制」を腰痛や肩こり活用する

ところで、筋肉の硬さや痛み、コリを解消するために、硬い部分をひたすら揉んだり押したりしすぎていませんか?

実は、硬い部分をただ揉んだり押したりするだけでは、その場では気持ち良いけれど、根本的な解決にはならないことが多々あります。

そこで、筋肉のゆるみを促進する方法の一つとして、「相反神経抑制」を使うことができます。

緩めたい部分と逆の部分の拮抗筋を使ってあげることで、無理なく筋肉の緊張をとる、という考え方ですね。

例えば、腰部の筋肉の緊張が強すぎて腰痛が起きている場合、腰を腰部のストレッチと腹筋を使うエクササイズを交互に行います。

こうして腰部と腹部の筋肉を交互に刺激することで、腰の筋肉の緊張や腰痛を和らげる効果が期待できます。

肩こりの場合は、僧帽筋上部(肩をすくめる動きをする筋肉)の緊張が強くなっていることが多いです。

そこで、首の側屈(頭を横に倒す動き)のストレッチをした後に、拮抗する菱形筋や広背筋を使う動き(肩甲骨を内側に寄せる・肩甲骨を下に下げる)をしてみてください。

そして再度、首肩のストレッチをすると、最初よりも首肩が軽くなっているのを感じられると思います。

こういった方法は、ただ単に辛い部分をストレッチしたり、揉んだり押したりするよりも、ずっと効果的です。

このように、人の体の仕組みに沿ったメンテナンスを行うことで、無理なく筋肉のバランスを整え、より効果的に体をケアしていくことができます。

 

 

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