質の良い睡眠のためのキーワードとなるセロトニンについて解説します。
朝日を浴びて「体内時計」をリセットしよう!
私たちの身体の中には「体内時計」があり、朝になると自然に目が覚め、夜になると眠るという生体リズムが備わっています。
これを、「概日リズム」(サーカディアンリズム)と言います。
本来、ヒトの体内時計の周期は25時間に設定されているといわれています。
一方、脳の視床下部には「視交叉上核」と呼ばれる部分があり、朝日を浴びて目から光の刺激を受けることで「体内時計」のスイッチがリセットされるようになっています。
つまり、朝日を浴びるおかげで時間のズレを24時間周期に修正し、体内時計を毎日リセットしているというわけです。
もしも朝日を十分に浴びなかったり、密閉された部屋だけで過ごしていると、一日の生活リズムがどんどんズレて、体内時計が狂ってしまいます。
セロトニンと生体リズム
この睡眠に関する生体リズムに関係しているのが「セロトニン」です。
セロトニンからは、睡眠ホルモンと呼ばれる「メラトニン」が作られます。
メラトニンは、脳幹にある「松果体」という部分から分泌されます。
セロトニンにはノルアドレナリンやドーパミンの働きをコントロール作用があります。
日中はセロトニンが分泌が続けられることで精神を安定させ、脳を落ち着いたクリアな状態に保っています。
そして夜が近づくにつれて、セロトニンの分泌は少なり、松果体からメラトニンが放出されるという仕組みになっています。
(セロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンの詳しい働きについてはこちら)
メラトニンには、脳の興奮を沈めリラックスさせ、体温を下げることで眠りを誘う作用があります。
このメラトニンは、昼間に分泌されたセロトニンから生成されます。
そのため、昼間にセロトニンの分泌が少ないと、夜作られるメラトニンの量も少なくなって、眠りにつきにくくなったり、眠りが浅くなるという、睡眠障害の症状が出やすくなってしまいます
セロトニン濃度が低下するタイプのうつ病で睡眠障害が起きやすいのはこのためですね。
睡眠中は、セロトニン神経系はほとんど休止状態にあるのですが、朝日を浴びることでセロトニン神経系が活動を始め、セロトニンを分泌するようになります。
それと同時にノルアドレナリンなどの分泌も開始され、脳が覚醒し、私たちは活動を開始することができるようになります。
セロトニンがしっかりと働くと、朝すっきり気持ちよく起きることができるのですが、もしもセロトニンの働きが悪いと、なかなか脳が活動できなくなり、朝起きるのがつらくなってしまいます。
朝起きたときに朝日を浴びると、すがすがしい気持ちで一日をスタートすることができる気がしますが、それはセロトニンという神経伝達物質の働きが大きく関係しているということですね。
メラトニンには抗酸化作用もある?!
良い睡眠のために欠かせないメラトニンですが、実は、その他にもとても重要な役割を持っています。
それは、体内の活性酸素を除去する抗酸化作用や、細胞のがん化を防ぐ抗ガン作用。寝ている間に体内の傷ついた細胞を修復するためにも欠かせないのです。
このことからも、昼間はしっかりとセロトニンを分泌させて、夜はしっかりとメラトニンを分泌し、十分な睡眠をとることは、健康のためになくてはならないものであるということができます。
メラトニンをしっかり分泌させるには、こちらもチェックしてみてくださいね。