未来の食品革命!?空気と電気から生まれるタンパク質solein(ソレイン)について

Solein(ソレイン)とは?

Solein(ソレイン)とは、フィンランドの企業Solar Foodsが開発したたんぱく質で、持続可能な食材として非常に注目されています。

私たちが生きていくためには、肉や植物に含まれるたんぱく質を食事から摂ることが欠かせません。

ところが、ソレインはなんと、空気中の二酸化炭素、水、電気を利用して微生物を培養して作ることができるのです。

このような方法であれば、従来の農業や畜産業に比べて非常に少ないと土地や水資源で生産が可能となります。

Solar Foodsによると、従来のたんぱく質生産時に比べてかなり少ない水で済むし、温室効果ガスの排出量も大幅に削減できるとしています。

ちなみに、例えば牛肉から100gのたんぱく質を得るためには、1500ℓの水が必要であると言われています。
これは、牛を飼育するためには大量の水が必要となるからです。

豚肉の場合は590ℓ、比較的資源が少なくて良いと言われている鶏肉の場合でも430ℓの水が必要です。

それに対してソレインの場合、100gのたんぱく質を得るためにはたったの5ℓのみの水で済むと言われています。

従来の農業や畜産業は、どうしても膨大な土地や水と資源を必要としますし、温室効果ガスの排出による気候変動が問題視されていますが、Soleinはそんな現代の人類の悩みを解決してくれる救世主になるスーパー食材になり得るかもしれません。

Soleinの生産方法

ソレインは、空気中の二酸化炭素、水、電気を利用して微生物を培養して作られます。

このような方法は「電気発酵」と呼ばれます。

ソレインの原料となる微生物は、「水素酸化細菌」と呼ばれる特殊な細菌です。

この細菌は、水素ガスをエネルギー源として空気中の二酸化炭素を取り込んで成長・増殖することが知られています。

この時使われる水素ガスは、水を電気分解することで生成されます。

中学校の時、理科の実験で水に電流を流して水素を発生させる実験をしたことを覚えている人もいるかもしれませんね。

水素酸化細菌がなぜ「特殊」なのかというと、一般的な細菌は植物や動物に依存して存在しますが、この細菌は植物や動物がなくても二酸化炭素を直接利用して増殖する能力を持っているのです。

この方法であれば環境負荷を大幅に抑えることができるので、持続可能な食品生産を可能にする画期的なシステムであると言えます。

ソレインの製造に使用される水素酸化細菌は、自然界から採取・分離した微生物を人工的に培養することによって商業規模でのソレイン生産に適した微生物株を確保することが可能となっているようです。

Soleinの栄養価・味などについて

ソレインの約65%はたんぱく質で構成されていて、ビタミンやミネラルも豊富に含まれており、非常に栄養価が高い食品です。

パウダー状の形状で、色は淡い黄色です。

風味は淡白でクセがなく、耐熱性もあるので加熱調理もでき、調理過程で栄養価や風味が失われることもないので様々な食品や料理に使用できるのではないかと言われており、将来的には多くの食品にソレインが取り入れられることが期待されています。

また、安全性も確認されており、一般的な食品と同様に基本的には体に害を及ぼすことはないとされています。

Soleinの普及状況と今後の展開について

ソレインの開発がスタートしたのは2010年代後半のことです。

2024年現在、ソレインはまだ商品化されたばかりで、まだまだ限られた市場でのテスト段階にあります。

日本国内での動向は、味の素社がフィンランドのSolar Foodsと提携して製品開発と市場調査を進行中で、シンガポールでは試験的に商品を販売しているようです。

今後、もしもソレインが広く普及して、低コストで大量のたんぱく質を生産できるようになれば、地球環境を守りながら、世界の食糧不足の解決にも大きく貢献できることでしょう。

持続可能な未来に向けて、この新技術がどのように役立っていくのか、これからの展開に大いに期待して注目していきたいと思います。

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