自分でできる甲状腺機能低下を改善する方法について解説します。
冷えや肩こりは甲状腺機能低下のせい?!
甲状腺ホルモンは全身の細胞の新陳代謝を促進するので、甲状腺機能の低下は全身に様々な影響を与えます。代表的な症状としては、低体温や身体の冷え、眉毛の外側が抜ける、乾燥肌、むくみ、眼の下のクマなどいろいろありますが、例えば肩こりがひどい、とか、最近気力がなくなってきた、なんていう症状も、実は甲状腺機能低下が影響していたりすることもあります。
(甲状腺機能低下によって起こる症状については、「手が冷たい人は心が温かいのは本当?」でも書いていますので参考にしてください)
「甲状腺機能低下症」と診断されるほどではなくても、甲状腺機能が低下気味になることで上記のような不調が出る人も多いので注意が必要です。
定期的に血液検査を受けている方であれば、血液データの変化によって甲状腺機能低下を予測することもできますので、気になる方は「甲状腺機能低下と血液検査」をチェックしてみてください。
甲状腺機能低下の原因とは?
甲状腺機能の低下を起こしてしまう原因は、腸内環境が悪い、肝機能低下、低栄養、慢性炎症(コルチゾール過多)、ミネラル不足、水銀の影響、慢性甲状腺炎(橋本病等)など。また、海に囲まれている日本ではあまり見られませんが、アメリカの内部などでは極端なヨード不足に陥って甲状腺機能低下を引き起こすケースも見られます。
上記の要因によって何が起こるかというと、ミトコンドリアの機能低下です。甲状腺とミトコンドリアは相互的な関係にあり、ミトコンドリア機能が落ちると身体は飢餓状態と判断する→飢餓に備えて甲状腺機能が落ちる→さらにミトコンドリア機能が低下する→さらに身体は飢餓に備える・・という悪循環が起こり、どんどん悪循環にはまってしまいます。これを解消するには、身体に飢餓状態だと感じさせないことが必要。低血糖を頻繁に起こす、身体がいつも冷えているといったことは身体に飢餓状態を感じさせてしまうので避けるべきだと言えます。
ただし、冷水浴や断食などといった短期的なストレスは、やり方によってはミトコンドリア機能を上げるために有効であったりもします。
甲状腺機能をあげるために自分でできること
①ミトコンドリア機能を上げる
ミトコンドリア機能を上げる方法については、「ミトコンドリア機能を上げて細胞を元気にする方法」で詳しく解説しています。
②腸内環境を整える
腸内環境が悪いと腸の炎症が起き、コルチゾールが過多になる→身体がストレス状態になりミトコンドリア機能が落ちる→甲状腺機能も低下するという悪循環が起こります。さらに、リーキーガットがあれば腸管から正常であれば吸収されないはずのものが身体に入り、それを処理するために肝臓にも負担がかかります。腸内環境を整えるために、糖分やカフェインを控える、食物繊維やプロバイオを摂る、といったことを意識しましょう。
また、腸を修復するためにはグルタミンサプリがかなりおすすめです。
③肝機能を上げる
甲状腺ホルモンであるT4は主に肝臓で活性の高いT3に変換されます。T3の方が活性が高い分、脳へのフィードバック力も強く、全身に与える影響は大きくなります。つまり、甲状腺ホルモンをしっかりと働かせるためには肝機能はとても大切なのです。
肝臓が疲労すると、胆汁分泌、解毒、タンパク合成、糖新生などといった働きが全部落ちてしまうので、当然体調が悪くなります。対策としては、エネルギーの消耗を抑える、サプリや薬はほどほどに、アルコール減らす(禁酒する)、腸ケア(LGSを治すことで肝臓への負担が減る)、睡眠時間の確保などが重要です。
④低血糖対策
夜間不眠、肩こり、朝起きられない、砂糖への渇望などは典型的な低血糖の症状です。特に血糖値の落ちやすい夕方の捕食も大切。血糖値を急激に上げ過ぎないものを少量ずつ食べたり、BCAAというアミノ酸は低血糖発作の予防に使えます。
甲状腺機能低下が心配な方は、低血糖を起こしやすい食事になっていないかどうかだけでなく、普段の食生活でたんぱく質不足や腸内環境悪化させる食事になっていないかどうかを見直してみましょう。ゆるいグルテンカゼインフリー、たんぱく質をしっかり食べるなどの対策だけでも症状が改善する例も多いです。
⑤身体を温める
甲状腺機能低下では代謝が落ちて低体温になります。身体を温めるとT4→T3への変換がされやすくなりますし、身体に飢餓状態だと感じさせにくくするためにも、身体が冷えないように気をつけて温めてあげることも有効です。
⑥脳ケアも大事
ミトコンドリア機能が低下すると、ミトコンドリアが多い臓器=脳・筋肉・肝臓機能の低下が顕著に見られます。脳を使いすぎて疲弊させないために、ストレス解消をすることやストレスの原因になっているものを排除すること、瞑想や断捨離なども有効です。
甲状腺機能に影響する食材
海藻などに多く含まれるヨードは甲状腺ホルモンの原料になるので適度に食べると良いです。ただし、極端に食べすぎるとヨードの過剰になって逆に甲状腺機能低下の原因になる場合もあります。うがい薬の「イソジン」にはヨードが入っていますが、イソジンの使いすぎで一時的に甲状腺機能が低下する人がいたりするので、甲状腺機能低下症の人は注意しましょう。また、大豆や生のアブラナ科の野菜(キャベツ、ケール、からし菜、カブ、パクチー、ルッコラ、大根、クレソンetc.)、ピーナッツなどに含まれる成分の中には甲状腺機能を低下させる働きがあると言われていますが、どれも極端に食べすぎたりしなければ心配いらないでしょう。もちろん、豆乳をがぶがぶ飲む、単品ダイエットで大量にこれらの食品を摂ることなどはもちろん避けた方が良いです。また、甲状腺機能低下の薬を飲んでいる場合は少し注意が必要です。
まとめ
・甲状腺機能低下は全身の細胞に影響を与えさまざまな不調を引き起こす。
・「甲状腺機能低下症」と診断されるほどでなくても、気になる症状があって血液データにも甲状腺機能低下気味の兆候が見られる人は対策をすると良い。
・甲状腺機能低下を解消するためには、ミトコンドリア機能を上げる・腸内環境を整える・肝機能を上げる・低血糖対策・身体を温める・脳ケアなどが有効。
・海藻や大豆製品、ピーナッツ、生のアブラナ科野菜などを極端に食べ過ぎたりすることは避ける。
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