最近疲れやすい、なんだか体調が悪い、肌が荒れやすい、風邪をひきやすい、抜け毛が気になる、病院で貧血と診断されて鉄剤を飲んでみたもののなかなか体調が改善されないetc. 、、そんな原因不明の不調の原因は、実は亜鉛不足からきているかもしれません。
亜鉛の働きとは?
亜鉛は、私たちの身体の細胞全体に広く存在するミネラルです。なぜなら、亜鉛は細胞の生成、たんぱく質やホルモンの合成など、多くの代謝に関わる物質だからです。
そのため、新陳代謝の激しい組織や細胞ほど亜鉛不足が出やすく、例えば、亜鉛不足があると疲れやすくなったり、細胞が再生されにくく、ちょっとした擦り傷の治りが遅くなったり、口角炎にかかりやすくなったりもします。亜鉛は前立腺や精子にも多く含まれており、生殖機能にも欠かせないミネラルで、亜鉛不足によって男性の前立腺肥大などが起こりやすくなることでも知られています。
味覚を感じる細胞の集合体である味蕾を形成するためにも重要で、亜鉛が不足すると味覚障害の症状が出ることもあります。
また、亜鉛やマグネシウムは、共に多くの代謝酵素の補酵素であるため、不足すると代謝が低下し、痩せにくくなってしまいます。
さらに、脳細胞の酸化を防ぎ、脳の機能を正常に維持するためにも重要で、亜鉛不足は認知症のリスクを高めるということも分かってきています。
亜鉛不足によって起こりやすい症状
亜鉛不足によって起こりうる症状は、以下のように多岐にわたります。
貧血、疲労、肌荒れ、口角炎、にきびや吹き出物、免疫力低下、味覚障害、食欲不振、女性の生理不順、不妊症、男性の前立腺肥大、脱毛、爪の変形、極端な短期、精神疾患、耳鳴り、子どもの成長障害、イライラ etc.
また、亜鉛はインスリンの生成にも欠かせないので、不足すると低血糖症や糖尿病などの原因にもなります。
ビタミンAの代謝にも関与していることから、亜鉛が不足すると粘膜が弱くなって感染症にかかりやすくなったり、ドライアイや眼の夜盲症といった眼のトラブルもおこりやすくなってしまいます。
これらの症状が気になる方は、亜鉛の過不足を予測するのに役立つ血液検査項目の一つであるALPや、血清銅と血清亜鉛を調べて銅と亜鉛のバランスなどをチェックしてみると良いでしょう。
亜鉛不足と炎症
亜鉛には体内の炎症を抑制してくれる働きもあります。
また、亜鉛不足は腸内の善玉菌を減らし悪玉菌を増やす状態を引き起こし、腸内環境を悪くして腸の炎症を引き起こします。するとさらに亜鉛の吸収が減り、亜鉛がもっと不足してしまう、という悪循環が起こることになります。
従って、亜鉛不足がある場合は体内の炎症も起こりやすくなっている状態ですので要注意です。
亜鉛不足の原因とは
体内の亜鉛が不足してしまう原因として、以下のような事が考えられます。
①ストレス
亜鉛は現代人にとって不足しやすいミネラルの一つであると言えます。なぜなら、亜鉛は精神的なストレスがかかると体内で使われ、尿中への排出が増えることが分かっています。上記の通り、慢性炎症も亜鉛不足の原因となります。
②摂取不足
加工食品や精製食品には亜鉛が含まれる量が少ないため、偏った食生活では摂取量が不足してしまいます。
無理なダイエットによって亜鉛の欠乏症が見られることもあります。
また、スナック菓子やレトルト食品、カップ麺に含まれる添加物の『リン酸塩』や『ポリリン酸』は亜鉛の吸収を妨げるので注意が必要です。
ちなみに、玄米や野菜などをたくさん摂る場合は、食物繊維に含まれるフィチン酸によって亜鉛や鉄の吸収が阻害されることもあるといわれています。
また、亜鉛をしっかりと摂取していたとしても、胃酸が少ないなど、消化吸収力が少ないがために不足してしまうということも考えられます。
③アルコールの飲みすぎ
アルコールを分解するアセトアルデヒド脱水酵素を働かせるためには、亜鉛が欠かせないので、アルコールをたくさん飲むとそれだけ亜鉛もたくさん消耗してしまいます。
④薬の影響
利尿剤や抗痙攣剤、ステロイド剤、人工透析、キレート剤も亜鉛不足の原因となります。
⑤加齢
加齢によっても亜鉛の尿中排泄量は増えます。例えば、年とともに味覚を感じにくくなってきた方などは、要注意です。
亜鉛と他のミネラルとの関係
鉄と亜鉛はお互いがバランスを保ちながら体内で働いているため、鉄欠乏性貧血の場合、同時に亜鉛も不足している可能性が高いです。貧血症状が気になる方や生理前に肌トラブルが起こりやすい方は、鉄だけでなく亜鉛も補うことで症状が改善されることがあります。
尚、亜鉛の所要量は鉄と同じぐらいとされていますが、尿や汗の中に排泄される量は鉄の10倍と多く、無理なダイエットや運動によって不足しがちになるので注意が必要です。
また、亜鉛は銅とバランスも非常に大切で、このバランスが崩れると精神のバランスを崩す原因となってしまうことがわかっています。(亜鉛と銅のバランスは、血液検査によって調べることができます)
亜鉛不足を防ぐために
亜鉛は、赤身肉や魚などの動物性食品、豆類、ナッツ類、海藻類など、様々な食品に含まれます。多く含まれる食品として牡蠣なども有名ですよね。亜鉛不足が気になる方は、こういった食材を意識的に摂るだけでなく、胃腸の状態を整えること、加工食品の摂りすぎを控えること、ストレス対策なども大切です。それから、日ごろからアルコールを飲みすぎの方も亜鉛不足に要注意!
亜鉛の吸収を良くするためにおすすめなのが、レモンやかぼすなどの酸っぱい柑橘類です。レモンなどに含まれるビタミンCとクエン酸は、亜鉛の吸収を助けてくれる上に、酸が胃酸の働きも助けてくれるので、肉料理や牡蠣にレモンやかぼすを絞ってを食べるのは、風味を良くするためだけでなく、栄養面においてもとても理にかなった方法なのですね!!